道北地域は、天塩川流域でカヌーやカヤックなどのアクティビティが充実。そして真っ直ぐに伸びる道道は、信号もなく整備状況が良いため、サイクリングロードに適しています。
さらには、天塩川に沿って宗谷バス・宗谷本線といった公共交通が運行していることから、「移動」を楽しむ取り組みを展開するには優れた環境になっています。
自転車やカヌー、トレッキングなどの自分の力で進むアクティビティと公共交通などを組み合わせ、ゆっくりと地域の魅力ある資源を味わいながら移動そのものを楽しむ、道北地域が進めている新たな観光のカタチ、「きた北海道エコ・モビリティ」。
事務局の中川町観光協会は、道北地域が持つ魅力的な資源を横断的に繋ぎ合わせ、多様な旅の形を作り出すことで、一つの包括的な観光資源を構築し、観光客の誘致を狙うとともに、広域連携による道北地域の活性化、地域観光を担う人づくりを見据えています。
現在は、「道」をきっかけに景観・地域・観光空間づくりに取り組むシーニックバイウェイ、「宗谷シーニックバイウェイ」と「天塩川流域ミュージアムパークウェイ」の2ルートが広域的に連携し、モデルコースの開発や移動の利便性を上げる設備の充実化、スポーツ自転車のレンタル事業実施に向けた実証試験などが進められています。
近い将来には、施設間の手荷物輸送システムの仕組みづくりなどを通して、多くの方が手ぶらで気軽にアクティビティを楽しむことができる、「きた北海道エコ・モビリティ」の姿を目指しています。
ここでは「きた北海道エコ・モビリティ」実現に向けて、観光客を呼び込む企画の第一弾「モニターツアーの開催」と、手ぶらで気軽な旅を実現にする「手荷物配送システム」についてご紹介します。
『道北地域の魅力を発信! ー モニターツアーの開催』
2016年10月、「きた北海道エコ・モビリティ」第一弾の企画として「きた北海道Slowモビリティ」と「きた北海道Longライド」、二つのモニターツアーが開催されました(2016年度は公益社団法人北海道観光振興機構の広域観光推進事業による「道北版エコ・モビリティ推進事業」として開催)。
「きた北海道Slowモビリティ」は、道北地域ならではの魅力を活かしたアクティビティを楽しみながら、剣淵町から中川町までSlow(ゆっくり)に北上していく、二泊三日の旅です。レンタサイクル・カヌー・フットパスの自ら進むアクティビティと、天体観測や琥珀磨きなどの体験を通して、ゆっくりと道北地域の自然資源を堪能することができます。
「きた北海道Longライド」は、旭川空港から日本のてっぺん宗谷岬まで、自らの自転車だけで総距離約325kmを三日間走り続ける、三泊四日の旅です。大雪山、天塩川、日本海など雄大な自然を眺めながら、自らの自転車で約325kmを走り抜ける快走感、自転車好きには魅力的な企画になっています。
参加定員はともに10名。アクティビティのほか、道北地域の美味しい食事やスイーツ、温泉なども楽しめる、盛りだくさんの企画になっています。
どちらのモニターツアーにおいても、道中のコースを何度も試走している地元ガイドが案内します。また「Longライド」開催時には、地元企業が車上仮設トイレを走らせるなど、地域の協力によるフォローアップ体制が整えられています。ツアーの終わりにはアンケート調査を実施し、観光客の立場から率直な意見をもらうことで、来年度の開催に向けてより企画の充実化を図ります。
『手ぶらで旅を楽しむ ー 手荷物配送システム』
手ぶらで気軽に旅(=アクティビティ)を楽しむ。そのような「きた北海道エコ・モビリティ」の姿を目指して、受け入れ環境の整備を進められています。
その核となる整備の一つが手荷物配送システムです。これは「空港や駅など旅の開始地点で手荷物を預け、サイクリングやカヌーなどのアクティビティを楽しみながら目的地に辿りつくと、そこには手荷物が到着している」といったような、荷物に捕われることなく旅の選択が取れるようになるシステムです。これにより、本格志向からファミリー、アクティブシニアまで、幅広い層に道北地域の魅力を伝えることが可能になります。現在は道北地域の宿泊施設や運送会社、個人事業主と横断的な連携を作りながら、システムの形成に取り組んでいます。
これらを実現させるためには、「きた北海道エコ・モビリティ」が目指しているように、魅力あるコンテンツ作り、手軽に安全に旅ができる環境整備、観光の推進役となる人材の育成など、旅人を介して多くの事柄を成熟させることが必要になります。
自動車などで各地の観光スポットを巡るだけではなく、北海道の新たな魅力を発見するための「ゆっくりと地域を楽しむ旅のカタチ」にも、価値を見出してみるのはいかがでしょうか。
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