事業者のエネルギーロスを見つけ、運用改善・設備改修による省エネ化を提案し、経営改善を支援する―。
 
 「一般社団法人札幌型省エネ推進企業会フラットエナジー(以下、SFE)」は、こうした理念と役割のもと、省エネ技術を有する中小企業が結集し、事業者向けの省エネ総合窓口として平成30年度に設立されたばかりの組織です。
 
 設立のきっかけは、札幌市経済観光局が平成28年度に実施した調査報告(札幌型省エネルギービジネス創出事業実施業務報告書)により、“運用改善・設備改修を中心とした事業者向け省エネルギーには大きな市場が存在する”と明らかになったことにあります。
 
 この結果を受け、高度な省エネ技術を有する多様な中小企業が、道内事業者の省エネ推進と新たな省エネビジネス創出という共通目標に向けて、連携体制を構築。企業間での度重なる議論を経て、それぞれが持つ技術やノウハウを最大限活用するための協働拠点としてSFEを誕生させました。
 

 
 
 
 
 
 

▲SFE構成企業一覧(平成31年1月時点「SFE」HPより引用)
 市内中小企業を中心に構成。うち北海道エア・ウォーター(株)は、サポーター企業として参加。
 
▼診断、工事の流れ(「SFE」HPより引用)

 
▼調査の様子(「SFE」HPより引用)
 

 

 
 現在SFEは、札幌市(札幌型省エネルギービジネス創出事業)と経済産業省(省エネルギー相談地域プラットフォーム構築事業)からの補助を受け、事業者が無料で省エネ診断を受けることができるサービスの提供を開始※。
 
 加えて、多様な種別の省エネ技術を保有する企業集団であることを活かし、診断のみならず、得られた結果に応じて具体的な提案から施工まで、ワンストップでのサービスを展開しています。


※ H32年度まで実施予定。H30年度は主に道央圏を対象。診断実施には診断対象の在籍地である市町村に事前承諾を得る必要がある。
 
 
 
 
 
 
 
 
 省エネ化による事業者の経営改善を進めることで、新たな省エネビジネスの創出を図り、さらにはCO2排出低減にも繋げる―。
 
 持続可能な社会の構築には欠かせない、三方良し(相手良し、自分良し、社会良し)の精神を持った省エネ推進の取り組みが、この北海道でも「SFE」を起点に動き始めています。
 

『用語解説:札幌型省エネルギーとは?』
 
 積雪寒冷地である北海道においては、年間電力需要のピークが冬季に集中します。また、業務施設における蒸気ボイラー、温水ボイラー等の保有率が極めて高いなど、冬季の熱需要にも特徴があります。こうした特徴を考慮せず、全国一律のスキームを適用しても、残念ながら望ましい省エネ効果を得ることはできません。
 
 そこで「SFE」では、積雪寒冷地特有のエネルギー需要や、設備の使い方に着目し、中小企業のエネルギーロスを利益に変えるための省エネ手法を、“札幌型省エネルギー”としています。
 
 

 
 

SFE会長の高山忠彦さんとサポーター企業である北海道エア・ウォーター(株)の辻晋治さんに今後の取り組みや展望についてお伺いしました。
 
「省エネビジネスをより一層拡大していくためには、事業者の省エネ推進に係る技術者の育成を急がなければならないと考えています。省エネ診断一つとっても、設備や省エネに関する網羅的な知識や経験が不可欠であり、それらは一朝一夕で身につくものではありません。そこで、それぞれ特化した省エネ技術を保有する企業集団であることを活かし、企業間交流のもと、勉強会をはじめ、あらゆる場面で職員の教育を図れるスキームの構築を進めています。またその一環として、まだ経験の浅い若手職員の教育も重視しています。参加企業がSFEに若手職員を送り、熟練者補佐のもと重要ポストを経験させるなど、次世代を担う人材育成を図れるよう努めています。」(高山さん)

 
 
 
 
「H30年度は道央圏を中心に事業を進めていましたが、事業者の省エネ化は全道的に大きな需要がある取り組みだと考えており、次年度は対象地域を拡大できるよう前向きに検討を進めています。一方、予算や人員の問題からSFEだけでは、広大な北海道に対応するのは難しいのが現状です。そのため、道内の各地域でSFEの取り組みに呼応する企業を探し、SFEのブランチとして省エネ事業を展開できる機能を持たせられないかとも考えているところです。脱炭素社会や持続可能な社会をつくる過程において、企業の省エネ化は不可欠な要素です。SFEの事業を通じて、その到来をできるだけ早く出来れば嬉しく思います。」(辻さん)


[本件に関するお問合せ] 
「一般社団法人 札幌型省エネ推進企業会 フラットエナジー(SFE)」のHPはこちら 
 
一般社団法人 札幌型省エネ推進企業会 フラットエナジー(SFE)
住所:北海道札幌市中央区大通東7丁目1番159号 電話:050-6869-0212
取材協力:SFE会長 高山さん、北海道エア・ウォーター(株) 辻さん